読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

okazaki3project

オカザキが創作の事や読書感想を殴り書きするだけのブログです。時々、自主企画の告知とか。

甘露

 

 ここは桃の花が咲き乱れる。甘く、芳しく。その中で、男性器も女性器も持たない、裸の【彼女】が横たわる。
 仙人ともなれば、性別も表情も失われることは当然ながら、命の重さも軽くなる。仙術を志す、感情を残した生き物たちを見やりながら。
 桃の園は、その甘い香りに秘術を匿す。
 ここにいる誰もが、【甘露】を――命の粒を追い求めている。このうちの何人が、仙人として桃の園に残ることができるのだろうか。
 仙人は、知識を生き移す。海のような空を見やりながら、昔は【彼女】と認識されていた仙人は思いふける。
 この中の何人が、仙人として生き残られるか。
 誘惑にも等しい桃の香りは、虚構を彩る。だって、【甘露】は仙人になれなかったなれの果て。
 永遠を生きる仙人は、仙人の命で食いつなぐ。
 昨日食したあの子は、極上の美味であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな流れで、即興でできたショートショートでした。

本当に即興で申し訳ない。

 

 

 

薬園台トヲル様、ありがとうございました!

火焔の少女

 研究サンプルとして生まれた私の能力は発火能力(パイロキネシス)だった。当時の私は、力の制御ができず感情的になると、すぐに炎が燃え上がった。

 だから決めたのだ、怒らない、泣かない、喜ばないと。
 だって私が、貴方を焼いてしまったのだから。

「まだ、そんなことを思ってるの?」

 彼は変わらない顔で、微笑む。暖かい炎に薪を加えながら、火を囲むみんなの顔が笑顔で。

 どうして、そんな顔をするの? 私が貴方を焼いたのに。

「そんなの、ひなたが大切だからに決まってるじゃん」

 恥ずかしげもなく言う。
 でも――私をライター代わりにしていい理由にならない。

「怒るなって、ごめん」

 ゆ・る・さ・な・い!

 

 

 

拙作、限りなく水色に近い緋色のひなたと爽から。

お題「火・炎」で思いついたのがこれでした。

クオリティー?

え? なにそれ、美味しいの?

今回は遅刻でしたので、これでご容赦を!

最後の吸血鬼

 


 それは汚れをなにひとつ許さない、絹のドレスを纏った少女の肖像画だった。表情は硬く、笑むことなく、むしろ瞳孔は見開かれて。愛らしさと恐れが入り混じって、違和感しかなく、私は思わす立ち止まった。
 時計が鐘を打ち鳴らし、時刻を告げる。
 周りには誰もいない。
 表題は「最後の吸血鬼」
 あまりにも可憐な少女に、それは似合わないと思ってしまった。
 と――白い腕が、ドレスが、花の香りが、私の腕を掴む。
(え?)
 刹那でドレスを着せられた私と、パンツスーツを着た、絵のなかの少女が入れ替わって。
 ありがとうね。
 絵の前で、少女は嗤った。
 300年は長かったけど、ようやく私、血が吸えるわ。
 

 

twitter300字SS参加作品。

 

 

 

吸血鬼好きだなー、おいら(笑)

スケッチブック・無自覚・ラブレター

 

 スケッチブックに想いのままにクレパスで彩る。何を描こうなんて、特に考えていない。時には猫だったり、甲冑の騎士だったり、男の子だったりする。いつも、一人でいる時は絵本に想いを馳せていた。
「ふーん」
 と覗き込んだトモダチが言う。心の準備なく、自分の絵を見られるのは、何だかくすぐったい。
「ひなたが描く男の子ってさ、水原君にそっくりだよね」
 言われて、え? と思う。そう思った瞬間に顔が熱い。慌てて、スケッチブックを閉める。
「ま、た上手くなったらみせる、から、見せるから!」
 言葉になっていないが、それどころじゃない。


「いい加減、自覚しなって」
 苦笑いされても、その声すら届かない。

 

twitter300字SS参加作品です。

 

 

#Twitter300字ss 「宴」

 

 淡い光の下で、初めて境界線は崩れ落ちる。月は満たされ、儚い灯りに照らされて、この世界は初めて孤独でないことを知る。
 笛が物悲しく、泣く。その音色に身を任せながら、彼女は盃に手を取り小さく舞うのだ。
「悪くはないな、この国の儀式は」
 彼女は僕の首に唇を寄せる。陶磁器のように白く、冷たい手に添えられながら。
「だが酒より、お前がいい」
 この神社には吸血鬼が祀られている。
「血が目的のくせに」
 会いたかったはずなのについ言ってしまう。
「目的なら、お前だ」
 酔った勢いのくせにと、悪態を返しながら。首に甘く食い込む牙が甘美だ。それ以上に言葉が甘ったるい。
 また人身御供の僕は生かされて――

 

#Twitter300字ss 参加作品。お題は「月」です。遅まきながら遅刻参加! 

 

 

 

3題

ポロリと栞が落ちる。無造作に読み漁っていた本から。

あの子と僕をつなげる本だった――という事をすっかりと忘れていた。

 

いっそ、忘れた方が楽な方がある。

そう言ったのは彼女だった。

 

――正直者が馬鹿を見る。

 

そう言って、時間を進めることを止めたのだ。

 

栞から先は白紙――。

それが代償なのを、本から溢れる記憶の羅列が全てを物語る。

 

この楽園は偽物だ。

ベールを剥げば、

血の色と腐臭が滲む。

 

夢を殺してまでも

大人たちの都合のいい現実の言いなりになる。

 

諦めきれなかった夢が

この本の世界では、

ケダモノに成る。

 

逆を返せば、それだけ僕たちの夢は死んでいく。

 

――我を崇めよ。

 

それは、栞に書かれた無意味な言葉のようであり

再び始めるための魔法の言葉でもあって。

 

我が名において命じる。

月の裏側の君よ。夜の女王よ。忘却の天女よ。

 

白紙のページが光り輝いて。

僕はその光に向けて、指でなぞるように

字を描く。

 

僕が始めた物語を

僕が終わらせるために。

 

 

 

 

 

今、会いに行く。 

 

 

 

 

 

 

 

最近、異世界ガンタジーをよく読むせいです。

もともと異世界ファンタジー大好きですけど。

最後の一言

 

見る者が見れば、妖精が寄り添うように舞ったのが見えただろう。

銀の粉を撒き散らしながら、妖精は哀悼を示す。それだって魔力の無い常人には、風かわそよぐ程度でしかない。

最後の賢者と呼ばれた老人が、この世界に来たのは、350年前。彼は異文化の国から漂流したと言われる。魔力が無い癖に、精霊と交わる事ができ、火種や雷を機械によって起こした。泥水を飲み水に変えたのも、かの老人の功績だった。

その老人が最後に残した言葉は――。

この世界の住民には意味不明で不明瞭な言葉たった。

それもそうかと、最初から付き合いだったカマドの精霊は溜息をつく。

彼の国の言語は、この国では全く解読不能だから当然か。

 

(だけどねぇ……)

 

呆れるしかないというのはこの事か。

彼の言葉は、後進の学者たちの研究意欲を掻き立てる、聖典として扱われるのは難くない。

 

(でもねぇ……)

 

 

――おうどん、食べたい。

 

(あんた、昨日も食ったじゃない)

 

――それから、君が好き。

 

(そっちを先にに言え!)

 

300年は精霊にとっても短くない時だ。

悲しいという感情は精霊には持ち得ない。

 

カマドの精霊にとっては、食わせる食い扶持がいなくなっただけなのに――その火が消える。

 

風がそよぐ。

カマドに火が起こせない。

その意味を賢いこの国の人達はよく理解していた。

 

 

 

 

また、こんなものを書いてしまって……。

どうすんの、俺。