猫の尻尾亭

尾岡レキが創作の事や読書感想を殴り書きするだけのブログです。アイラブ300字SS!

映画「僕のワンダフル・ライフ」を観てきたので感想をば!

 

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家族で映画を観てきたので、感想を少しばかり。
アンパンマンドラえもん仮面ライダープリキュア、ディズニーを辿ってきたチビ達でしたが、
「映画館いきたーい」の娘の声に連れられて、行ってきました。


あらすじはこちら。

 

車に閉じ込められ、衰弱寸前のところをイーサンとそのママの助けられた
ゴールデンレトリバーの子犬。
この子犬、ベリーとイーサンをめぐる物語なのですが、
注目すべきは、一度寿命で天寿を全うしたベリーが、次の生でまた犬に転生し、イーサンとの記憶を残し、イーサンを求めて人生を送って行くのです。

 


号泣でした。
動物映画はまずいんです。
愛らしい動物に、感情を全て持って行かれます。

次の人生へ行く中で、決してハッピーじゃないことだらけで。
ベリーの時の人生で、すでにイーサンの一家は、離散しますからね。
それに、恋の苦しみもあって。


それでもベリーはね、ひたむきなんです。
イーサンと再会できた時、もうスクリーンが見えない。
これぐらいは書いてもいいでしょ?


この映画は、ベリーの一人称で語られて
設定もファンタジーだから、フィルターにかけられている気もしますが
人の世の無情さを、リアルに描かれています。

保健所に保護されて人生が終了したり、
家族の悲しみ
人間のエゴによる犬の調教、活用や
放棄という名の虐待、捨てるという行為も。

だから、ペットを飼うということは
可愛いだけじゃ済まない。

でもね、それだけじゃないのも人間で、
それはラストまで見て欲しいです。

これはファンタジーだから
そんなの無理だよ、って思うけど
無理が可能になるから、ファンタジーなんです。

子供達の前で、たくさん泣いて恥ずかしかったですが、
それもまた愛嬌。

映画を観ることそのものは二人とも好きなようなので、
素敵な時間を作ってあげたいと思います。

今作は、僕としては、本当に良い出会いだったと思います。
ベリーに会えてよかった!

 

憑見酒(ツキミザケ)

 他の人に視えないと気付いた7歳。境界線が曖昧になったのが11歳。14歳になって、あの子の顔も視えなくて。
 17歳、恋をした。そしてあの子の声が聞こえなくなった。初恋はすぐに終わった。櫻が舞い、紅葉が散るを繰り返し。
 ――視たいかぇ?
 と言ったのは、お寺の住職だった。水の澄んだ清酒がいい。中秋の名月、雲ひとつない深夜に、縁の場所で。盃を呷り無心に待て。
 そして今日に至る――。
 酒を飲み干す。何が美味しいのか分からなく、頭がクラクラする。
 でも――涙で目が霞む。あの子が同じように立っていて。

 

 住職の声が今になって、耳につく。
 ――こちらに戻らない覚悟、あるかぇ?
 僕は躊躇わずに、境界線を跨いだ。

 

 

 

 

twitter300字SS 第37回参加作品。

恒例でございます。

今回は「酒」

下戸な僕は今いち日本酒の味がわからないのですが。

企画の方は、今回も楽しく参加できました。

これから他の方のを読むのが楽しみです。

小学校から電話

 

小学校から電話があるとドッキリします。
慌ててかけ直しました。

今頃はPTAの役員もしているので「お仕事でしょうか?」「書類の修正でしょうか?」と反射してしまう僕がイヤだ(笑)

今回の書類は会長が作ったし、とかゴモゴモ思っていると
坊の方の担任の先生で。

 

「お父さん、すいません、ゆー君が階段から転んで」

 

まず、この瞬間からフリーズ。

ちなみに我が家は、相方さんがデイサービスの介護職員ですので

サービス提供時間中は、携帯電話などでられるはずもなく。

第一連絡先が僕になっているのです。

 

「お掃除の時に、箒とチリトリを持っていて
 横向きに転がったようで……」

 

フリーズ。
フリーズ。
フリーズ。

 

 

イメージしました。

横向きに転がって……。

な、に?

スタント?

 

まって?

まって?

まって?!

 

お前、なにやってんの?

 

 

「肩の痛みだけだったんで、とりあえずは保健室で湿布を貼ってもらってますが

 お家でも様子を見てあげてください」

 

 

先生、オッケー。

オーライ。

理解した。

 

 

慌てて、家に帰る時間を見計らって電話をしたが、出ない。

お、い。

もう帰っている時間だよね?

 

姉ちゃんの電話にかけてみたが、

やっぱり出ない。

 

 

嘔吐?

意識消失?

電話に出られないほど、パニック?

 

上司に理由を説明し、早退。
慌てて、仕事用携帯やら、車の鍵やら忘れそうになったけど。

 

 

車を走らせて、一目散に帰宅。

 

 

 

 

 

 

 

 

なぁんだか、元気な声がしますよ。

走り回ってますが。

 

「おっす」

「おっす?」

「早かったね」

「早いだろ、階段で転んだと先生から聞いて帰ってきたの。なんで電話に出ないの?」

「え……面倒臭いのと、本を読んでいて」

「姉ちゃんの携帯にもかけたんだが?」

「猫のお世話して、忙しかったんですー」

「宿題は?」

「「してませーん」」

 

 

 

綺麗にハモったよ、このひとたち。

とりあえず、携帯電話は出ろとちょっと説教。

ただ、安心はできないので、今晩一晩様子見。

 

肝心の転がったエピソードをしっかり聞いてなかったので、

この後問い詰めます(^^;;

 

 

天空都市

 まっしろい。
 天空都市を龍人が建立したという伝説のみが残る。
 雲海に足を踏み込んだ時点で、コンパスは役に立たなかった。
 皇位継承権ならくれてやると言っているのに、愚弟は納得しない。
 そこまで思いながら、今さら我に返る。国を追われた私に何が残る?
 自嘲し笑った刹那――足が滑った。雲の欠片となるならそれもまた本望。私は薄く笑って、墜ちた。

 

 


 頭痛に苛まれながら、目を開ける。
 雲海を前に広がる都市群――。
 だが、それよりも腕が千切れて、配線が剥き出しの騎士型機械人形に目を奪われた。
「網膜認証を終了、遺伝子適合を確認。コード・ランスロットは貴女を王として認証しました」
 ――私の物語は、まだ終わらない。

 

 

 

ということで、恒例twitter300字SS参加作品

今回は「雲」でした。

迷った! 大いに迷いましたが、

今回も月並みではありますが、なんとか投稿ができました。

 

空中都市の描写をもっとしたかった。

いつか、どこかで!

 

最近、300字SSを巡回できていないので、今回こそは楽しませていただきます!

 

「君とドラゴン企画」を始めます!

概要は、こちらのTwitterのモーメントにまとめてますので。

 

 

ツイートにある通り

「君とドラゴン」をテーマに、140字から5000字までの短編をお願いします。

 

ドラゴンって響きがいい。

色々なことを妄想します。

 

最強の生物、叡智の存在

あるいは人類最強の敵

神であり、排他された存在であり、

過去の栄光であり、忌むべき存在であり。

 

捉え方は人それぞれ。

どんな「君とドラゴン」な物語が生まれるのか楽しみです。

 

ぜひ、皆様の参加をお待ちしています。

 

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休眠解除

 

 それは静かに眠り続けていた。
 古からの宝だと、勝手に冒険者たちは夢を膨らませる。暗号化された多重パスコードを解除して歓喜する。彼らにとってそれがパスコードだったという認識はない。
 人工知能はテンプレート通りの警告をするが、言語が違う方向に発展した現代、古代語を理解する素養は彼らになかった。
 興奮を抑えながら、冒険者たちは【実行】する。
 財宝なんか、最初からあるわけない。人工知能にその機能があれば、ため息をつけたのに。
 彼らは【実行】を望んだ。パスコードを解除できた【実行者】に、人工知能が拒絶するすべもない。
 あの戦争でも権力者たちが使う事を憚られた細菌兵器が、

 ――ゆっくりと、目覚めた。

 

 

 

 

 

昨日、日にちを間違えて投稿してしまいましたが、

余裕ができたと言う事で、もう一本。

主催者さま、関係各位、ご迷惑をおかけしました。

何気ない休日に

 

 私が作ったクッキーを、あなたは頬張る。何回も手が伸びるのは、きっと美味しい証拠なんだろうって勝手に思ってる。
 分かりやすいアクション映画。お約束のロマンス。こんな風に想えたら――と思っていたら、あなたがそっと私を抱き寄せた。
 この瞬間が幸せ――なんて思っていると携帯電話が鳴る。
 後ろ向きな感情ばかりが蠢いて、手がのびない。
「仕事の電話でしょ?」
 とあなたが無情に言う。ため息をついて渋々出た。
「先生、ごめんなさい! でも急患が、急患が!」
「落ち着いて、今行くから。状況は?」
 仕事に切り替えた私に、あなたはそっと囁いた。
 ――おいしいご飯作って待ってるからね。
 何時に帰られるか分からないけれど。
 私は大きく頷いた。

 

 

 

 

 

と言うことで、第35回twitter300字SS参加作品

お題は「休」でした。

うん、休めてない、女医先生。いつか報われる日がありますように!