猫の尻尾亭

尾岡レキが創作の事や読書感想を殴り書きするだけのブログです。アイラブ300字SS!

新しい恋

 ウブな女の子でもないのにと思う。仕事に夢中で、気づいたらこの歳になっていた。最後に付き合っていたのは大学生の時で。その時は当たり前に手を握ってデートしていたのに、今じゃどうしていいか分からない。
 4つ年下の仲西君に好きと言われた。反射的に、頷いてしまった私は無責任だと思う。
「プライベートくらい、名前で呼んでもいいよね?」
 無邪気に彼は言う。
「さゆり」
 素直に言われて顔が熱い。どうやら、私の新しい恋はすでに始まっていたようで。

 


「あ、仲西先生と織田先生、付き合ってたの?」
「まぁね」
「いいなぁ、先生たち可愛いー」
 普通に話さないで。少しは隠して。生徒の前でやめて!

 

 

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今回もなんとか参加できましたー。次回はもう少し、テーマをひねって参加したいと思います。

 

血なんかかよってない

 人形と揶揄されたこともある。
 そもそも、ニンゲンとして扱われたこともない。
 味覚はない。感覚もデータ検知するが、君たちが言うような、触れ合いも温度も、感情すら人工物だ。そうプログラムされたから、その通りに判断する。ただ、それだけのこと――と息をつく。


「遠藤さん!」
 ただすれ違っただけで、彼女は無邪気に手を振ってくれる。あの子は、なんて笑顔で笑うんだろう。彼女の隣では、苦虫を潰したような顔で、こちらを睨む少年が一人。
 彼の反応が正当というものだ。
 俺は、君たちを監視しているというに――君ときたら、まるで頓着しない。

 その度にシステムが【エラーを検出】と警告してくれるのが、なんとも五月蝿かった。

 

 

 

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twitter300字SS

テーマ「人形」参加作品です。

 

拙作「限りなく水色に近い緋色」より。

本編で、遠藤さんをもっと書きたいのに書けなかったので、作者のエゴで、個人的に満足したのでした。

 

ニンギョウ王子

 許嫁たる王子が贈った人形を大切にしていた。
 もともと政略結婚以外の何ものでもない。

 王は、姫を嫁がせるつもりはなかった。
 そしてかの国は、同盟国として派兵を余儀なくされ――壁となって、潰えた。

 ――この人形があなたを守るだろう、ボクの代わりに。

 今なら、子どもの戯言だと分かる。
 そして、王は国を栄えさせる道具として、また姫を使うつもりだった。

(大丈夫)
 そう呟く。私が次に、あなたの元へ行くから。

 

 

 


 殿下の御身を守る為、魔術を使わせてくださいませ。

 婆やはそう言った。
 あの日から、姫のそばに人形として仕えている。深夜、光が届かない場所でだけ、魔術はほつれて――。

(生きる理由は、もう貴女しかない)

 

 

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twitter300字SS参加作品。

今回のテーマは「人形」でした。

タイトルそのまんま。当日にほぼ即興で書いたので、

内容もまた安直だったかも。

でも、また続きを書きたいと思うのでした。個人的に満足。

 

君との時間はおしまい

 気になる、って程度だったんだ、最初は。

 同じクラスが続き、当たり前のように話をしていた。壁を感じず気遣いをする必要が全くなくて。

 試しにさ、付き合ってみたら?
 無責任に誰かが言う。

 そんな失礼なこと言えるわけない。
 終わらせたくないって気持ちは強い。

 でも今までの強運もこれでおしまい。僕と彼女は離ればなれで。
 もうこの時間は終わってしま――

「佐島」

 彼女が声をかけてくれた。

「先生と生徒の関係もおしまいだから。そうしたら私、遠慮しないからね」
「え?」
「遠慮しないって言ったの。好きって、言った方がいい」
「先生、聞かれるって!」

 顔が熱いのは暖房のせいなんだ、きっと。

 

 

 

 

twitter300字SS参加作品、その2です。

騎士には王が必要で

 王子が連れ帰った貧民街の剣客に興味があった。
 先王崩御後、宰相が政を動かす。宰相は王子が何をしても興味ないという無礼な素振りで。

 仕えるべき王がいない現実が苦い。

 鬱憤を晴らしたかったのだ。
 手合わせを申し入れ――彼女はあっさりと承諾をする。
 近衛騎士と勝負をする気なのかと呆れたが――その数刻後、土を舐めさせられたのは私だった。


「まぁまぁだね」

 と彼女は言う。蝶が舞うような所作は見事で。

「あの子の害になるなら切り捨てようと思ったけど、あなたは違うのね」

 試されたのは、私と言うことか。

 と、それを見ていた王子が手を伸ばす。勿体無いと思いながら、私はその掌に触れた。
 仕えるべき王ならここにいる。

 

 

 

 

 

と言うことで、月に1回のお楽しみ。

Twitter300字SS、今回は「試す」でした。

しかし、自分で書いていながら、この子好きだわ。名前決めてないけど(え?
そして「試す」って、かなり難しかったけど、今回も。

以前書いた作品のキャラに最近なっているのは、余裕がないからか。

できれば完全新作で挑みたいところです。

 

「真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました」を読みました。

ncode.syosetu.com

 

 

突然ですが、読書メモ。
作者様のあらすじから。

 

 勇者の加護を持つ少女と魔王が戦うファンタジー世界。その世界で、初期レベルだけが高い『導き手』の加護を持つレッドは、妹である勇者の初期パーティーとして戦ってきた。
 だがレベルが高いだけで魔法も武技も超能力もない加護では次第に戦いについていけなくなり、ついに仲間の一人の賢者から「お前は真の仲間じゃない」と装備を全て奪われ、銅の剣一本でパーティーを追い出されてしまう。

 すっかり心が折れてしまったレッドは、世界の命運なんて知ったことか魔王軍との戦いから遠く離れた辺境の地ゾルタンで、目立たず1人楽しく生きてやると、旅の中で身につけた知識を活かし薬草屋を開くためとお金を貯めることにした。

 下町で暮らすハーフエルフの大工や、勇者の仲間にならなかったお姫様と一緒に、生まれついての加護が支配する世界で目指せ辺境スローライフ

 

 

という、なんて丁寧なあらすじ。
そして、今時のタイトルですが、中身はなかなかに硬派なファンタジーです。

白状しましょう。
最新話までの読破、半日でした。

物語の全貌もこれからという感じですが。

半チートと言えばいいか。
努力した才能はある。十分に実力もある。
でもコンプレックスと、過去に囚われて……から始まるのですが。

一般人からしてみたら、十分に能力がある。
でも、挫折があって。
自分のできるところから始める、と言うところが
共感できるところがあるんじゃないでしょうか。

ハーレムものじゃないのも、好感度が高いなぁ、と。

基本、一人称。時々、三人称。(お仲間視点)
でも、ある程度世界を巡って、人の世の酸いも辛いも(甘いではない)
味わった主人公だからこその、三人称に近いものがあって。

あぁ、こう言う視点は新しいなぁ、と。
今後の展開が楽しみです。

 

小説家になろう様からどうぞ。

 

真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました

夢だけでも見させて

 ラボの中が、クリスマスムードなのを見やりながら、僕は白けてしまう。
 ここは実験の結果が全てで。
 くだらない――と吐き捨てた、その足が止まった。
 あの子が、ツリーを見上げていて。
 彼女の両親は研究者だ。両親にとっては、娘という認識よりもサンプル対象で。
 可哀想に、と思うけど同情はしない。僕は、我関せず通り過ぎた。

 

 


「何が我関せずよ。特化型サンプルへのアクセスコードは難しいって――」
「姉さん、ちょと静かに」
 彼女は、今年こそ両親がプレゼントを置いてくれると信じてやまない。僕らだって、それぐらい夢を見たっていいはずだ。
 バカだな、って思うけど。それでも――。
「メリークリスマス」
 僕は君に囁いた。

 

 

 

ということで、twitter300字SS参加作品でした。

最近、忙しさにかまけて文筆が疎かだったのですが。

これを機会に、しっかり書いていきたいなぁ、と。

今回は、うちの子のあの二人プラス、シスコンなボクっ子姉様でした。

お粗末!