okazaki3project

オカザキが創作の事や読書感想を殴り書きするだけのブログです。時々、自主企画の告知とか。

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天空都市

まっしろい。 天空都市を龍人が建立したという伝説のみが残る。 雲海に足を踏み込んだ時点で、コンパスは役に立たなかった。 皇位継承権ならくれてやると言っているのに、愚弟は納得しない。 そこまで思いながら、今さら我に返る。国を追われた私に何が残る…

未来を彩る飾り付けを

腫れ物を触るように扱われていた。傀儡の王子だ、情勢が変われば暗殺される。 だから――命を晒すことも厭わずに、市井に出た。案の定、賊が金目当てに取り囲む。きっと、パンをあげた子が僕を売ったのだ。 (のぞむところだ) と目を閉じると――鋼が衝突する音…

命の氷

男は氷をノミで削るという作業を繰り返す。雪の女王からようやく下賜された【命の氷】だ。 匠であることの証。芸術をこよなく愛する雪の女王が、本当に認めた匠にしか譲らない。男はその腕で、氷の宮殿を作り上げた。 女王はお喜びだ、と文官はご丁寧に報告…

かき氷の記憶

幼馴染と言うには、語弊がある。なんとなく、駄菓子屋の孫、それぐらいの認識しかない。クラスは一緒になったことがない、その程度の関係だった。 この駄菓子屋は、夏になるとかき氷を始める。かき氷を彼女と並んで一食べた記憶だけが鮮明で。 その駄菓子屋…

火焔の少女

研究サンプルとして生まれた私の能力は発火能力(パイロキネシス)だった。当時の私は、力の制御ができず感情的になると、すぐに炎が燃え上がった。 だから決めたのだ、怒らない、泣かない、喜ばないと。 だって私が、貴方を焼いてしまったのだから。 「まだ…

最後の吸血鬼

それは汚れをなにひとつ許さない、絹のドレスを纏った少女の肖像画だった。表情は硬く、笑むことなく、むしろ瞳孔は見開かれて。愛らしさと恐れが入り混じって、違和感しかなく、私は思わす立ち止まった。 時計が鐘を打ち鳴らし、時刻を告げる。 周りには誰…

スケッチブック・無自覚・ラブレター

スケッチブックに想いのままにクレパスで彩る。何を描こうなんて、特に考えていない。時には猫だったり、甲冑の騎士だったり、男の子だったりする。いつも、一人でいる時は絵本に想いを馳せていた。「ふーん」 と覗き込んだトモダチが言う。心の準備なく、自…

#Twitter300字ss 「宴」

淡い光の下で、初めて境界線は崩れ落ちる。月は満たされ、儚い灯りに照らされて、この世界は初めて孤独でないことを知る。 笛が物悲しく、泣く。その音色に身を任せながら、彼女は盃に手を取り小さく舞うのだ。「悪くはないな、この国の儀式は」 彼女は僕の…