婚約腕輪
これは契約なのだと言う。本堂の奥、床板が腐っていた場所に、その妖怪は眠っていた。衣一つまとわず――は思春期の男子高校生にはキツイ――まま納められていた彼女は、僕を見て笑った。
「元服を迎えた武士(モノノフ)が、儂に欲情するか。まぁそれも一興」
そう呟いた声が契機だったのか、彼女の吐く吐息が、腕に巻きつく。
「な、何、これ?」
「生臭坊主の家系は、教えを一子相伝と聞いたが、ニンゲンの為す伝聞などその程度か」
ふむと頷く。い、意味がわからない……。
「疫で米も野菜もダメになった時代があってな。貴様の祖先は、儂に泣きついた。もともと、医の心得がある儂には造作無いことだった。その変わりに、供物を要求した」
「え? それって、人身御供?」
いわゆる生贄ってヤツじゃないかと、と唾を飲み込む。腕に巻きついた煙は腕輪となって、取れない。どう足掻いても、だ。これは観念するしかないのか、とから笑いしか出てこない。
「血は争えぬな。別に人間の血肉など、食ってもうまくはない。儂には興味がない事よ」
「え?」
「儂は優秀な子が欲しいだけ。生臭坊主は優秀な血はあったが、女にだらしなくてな。坊主が庄屋と不義密通とは、なんとも嘆かわしい事よ。血は良くとも、親がそれでは子は育たぬ」
「は、はぁ」
「故に、今日まで待った」
「へ?」
「坊――名はなんと?」
「え? 慶太だけど――」
「心音(ココロネ)が美しい。お主のような武士ならば、夫婦(メオト)となる事にも異議はなし。待ち続けた甲斐があったというもの――」
え? え? え?
この瞬間も、裸の少女は僕に距離を詰めてくる。
「ま、まって、待って! ちょっと話しあおう、色々ちょっと確認したいことが――」
「体で語ることも武士たる、か。一目惚れというものは信じていなかったが、この世に絶対は無い、ということか。天よ、閻魔よ。この出会いに感謝する」
「だから待って、ちょっと、待って、待って――」
この後、音を聞きつけた母が駆けつけて――さらに事態はややこしくなるのだけれど――兎に角、今はもうそれどころじゃなかった。
オカザキレオは紫色の安っぽいリングで繋がれた女子高校生。槍に変化し、医学に熟達している。
— オカザキレオ (@oka_reo) 2016年6月25日
性格はサバサバしていて、夢見がち。相手の心が読める一面を持ち合わせている。#婚約腕輪https://t.co/2Ac3Ukznjo
まぁ、女子高生っていう設定そのもが電波様、コラーって感じですが(笑)
男子が大好きな、幼馴染とか、近所のお姉さんとか、委員長とか巻き込みながらの、伝奇的ハーレムモノも面白そうです(笑)