甘露
ここは桃の花が咲き乱れる。甘く、芳しく。その中で、男性器も女性器も持たない、裸の【彼女】が横たわる。
仙人ともなれば、性別も表情も失われることは当然ながら、命の重さも軽くなる。仙術を志す、感情を残した生き物たちを見やりながら。
桃の園は、その甘い香りに秘術を匿す。
ここにいる誰もが、【甘露】を――命の粒を追い求めている。このうちの何人が、仙人として桃の園に残ることができるのだろうか。
仙人は、知識を生き移す。海のような空を見やりながら、昔は【彼女】と認識されていた仙人は思いふける。
この中の何人が、仙人として生き残られるか。
誘惑にも等しい桃の香りは、虚構を彩る。だって、【甘露】は仙人になれなかったなれの果て。
永遠を生きる仙人は、仙人の命で食いつなぐ。
昨日食したあの子は、極上の美味であった。
こんな流れで、即興でできたショートショートでした。
本当に即興で申し訳ない。
#あなたの描いたイラストに掌編おつけします
— オカザキレオ (@oka_reo) 2016年12月13日
来るわけないので、便乗してみた。
@oka_reo がんばってかいてみた~ pic.twitter.com/tEVTwZcqBV
— 薬園台トヲル (@aza92036459) 2016年12月14日
薬園台トヲル様、ありがとうございました!