猫の尻尾亭

尾岡レキが創作の事や読書感想を殴り書きするだけのブログです。アイラブ300字SS!

夢だけでも見させて

 ラボの中が、クリスマスムードなのを見やりながら、僕は白けてしまう。
 ここは実験の結果が全てで。
 くだらない――と吐き捨てた、その足が止まった。
 あの子が、ツリーを見上げていて。
 彼女の両親は研究者だ。両親にとっては、娘という認識よりもサンプル対象で。
 可哀想に、と思うけど同情はしない。僕は、我関せず通り過ぎた。

 

 


「何が我関せずよ。特化型サンプルへのアクセスコードは難しいって――」
「姉さん、ちょと静かに」
 彼女は、今年こそ両親がプレゼントを置いてくれると信じてやまない。僕らだって、それぐらい夢を見たっていいはずだ。
 バカだな、って思うけど。それでも――。
「メリークリスマス」
 僕は君に囁いた。

 

 

 

ということで、twitter300字SS参加作品でした。

最近、忙しさにかまけて文筆が疎かだったのですが。

これを機会に、しっかり書いていきたいなぁ、と。

今回は、うちの子のあの二人プラス、シスコンなボクっ子姉様でした。

お粗末!