乱舞
モニターから見ていた世界が全てだった。ラボでは全てが管理される。あてがわれた部屋には窓すらなくて。
繰り返される実験。私の手のひらの上で、煌々と燃える火炎。上手に壊したら、お父さんが喜んでくれた。
ある日――実験で一緒だった子が、私の手を引いた。その子の手には、液晶タブレット端末が。時々見せてくれた景色に目を奪われて。ココにはない世界が、広がっている気がして――。
でも私は、そんな世界には行けない。
そう思っていたんだけどな。
言葉にならなかった。あの子が私の手を引く。目の前では桃色の花弁が乱舞して。
でも、それ以上に暖かい手や言葉が、こんなにも溢れる世界があっただなんて。
第五十二回のお題は「咲く」です。花以外の比喩的表現でもOKです。「咲く」のある光景を作品にして下さい。概要→ https://t.co/PJh41DIrmY
— Tw300字ss (@Tw300ss) April 5, 2019
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第52回Twitter300字SS参加作品。
テーマ「咲く」でした。
文字数にして292字。
ちょっと後書き。
多分、初めてでも読めるように書いたつもりだったのですが、
拙作「限りなく水色に近い緋色」から、宗方ひなたでした。
実験室時代のことをいつか書こうと思いながらいたんですが、
あら、なんか良い風景を書けたきがします。
その反面、やっぱり300字という紫衣源は難しいなぁと思ったり。
それが毎回、楽しくて仕方がないですけどね。
今回も参加できてよかったです。あともう1作、参加できたらありがたいなぁ。間に合えば!