生命の水
水が滴る。滴が落ちる。その瞬間を正視できたのも、ほんの刹那で。直視すらできない、激痛が俺を襲った。
「意識がまだあるか?」
白衣の男は、興味深そうにデータの変化を追いかける。
体が内側から灼け、激痛が体の中を駆け巡る。その様を尻目に、男はさらにタブレットをその指でなぞっていく。
「普通はこの段階で細胞が死滅するんだが、君は耐えるんだな」
この男はなにを――。
この実験に成功したら、君は優秀な遺伝子保持者として、国から保護を受ける。もし失敗したとしても、全て貴重なデータだ。君の命含めて、その全てを保証しよう――。
「もう少し、生命の水(アクア・ヴィエ)を追加するか」
ヤツは楽しげに、笑みを浮かべた。
今夜開催です。第五十四回のお題は「水」です。飲み水、雨水、水着等、「水」の入る言葉でもOKです。「水」のある光景を作品にして下さい。概要→ https://t.co/PJh41DIrmY
— Tw300字ss (@Tw300ss) 2019年6月1日
に沿って今夜21時~24時に #Twitter300字ss と @Tw300ss をつけて投稿して下さい
twitter300字SS参加作品、そして実は拙作「限りなく水色に近い緋色」から、でした。多分、僕の作品を知らなくても、この空気感は楽しんで頂けるかなぁ、と。
救いのない展開ですが、僕は書いていて楽しかったのは鬼畜なんでしょうか^^;
でも、今回も楽しかったです。