猫の尻尾亭

尾岡レキが創作の事や読書感想を殴り書きするだけのブログです。アイラブ300字SS!

生命の水

 

 水が滴る。滴が落ちる。その瞬間を正視できたのも、ほんの刹那で。直視すらできない、激痛が俺を襲った。
「意識がまだあるか?」
 白衣の男は、興味深そうにデータの変化を追いかける。
 体が内側から灼け、激痛が体の中を駆け巡る。その様を尻目に、男はさらにタブレットをその指でなぞっていく。
「普通はこの段階で細胞が死滅するんだが、君は耐えるんだな」
 この男はなにを――。
 この実験に成功したら、君は優秀な遺伝子保持者として、国から保護を受ける。もし失敗したとしても、全て貴重なデータだ。君の命含めて、その全てを保証しよう――。
「もう少し、生命の水(アクア・ヴィエ)を追加するか」
 ヤツは楽しげに、笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

twitter300字SS参加作品、そして実は拙作「限りなく水色に近い緋色」から、でした。多分、僕の作品を知らなくても、この空気感は楽しんで頂けるかなぁ、と。

救いのない展開ですが、僕は書いていて楽しかったのは鬼畜なんでしょうか^^;

 

でも、今回も楽しかったです。