猫の尻尾亭

尾岡レキが創作の事や読書感想を殴り書きするだけのブログです。アイラブ300字SS!

2017-02-04から1日間の記事一覧

命の氷

男は氷をノミで削るという作業を繰り返す。雪の女王からようやく下賜された【命の氷】だ。 匠であることの証。芸術をこよなく愛する雪の女王が、本当に認めた匠にしか譲らない。男はその腕で、氷の宮殿を作り上げた。 女王はお喜びだ、と文官はご丁寧に報告…

かき氷の記憶

幼馴染と言うには、語弊がある。なんとなく、駄菓子屋の孫、それぐらいの認識しかない。クラスは一緒になったことがない、その程度の関係だった。 この駄菓子屋は、夏になるとかき氷を始める。かき氷を彼女と並んで一食べた記憶だけが鮮明で。 その駄菓子屋…