かき氷の記憶
幼馴染と言うには、語弊がある。なんとなく、駄菓子屋の孫、それぐらいの認識しかない。クラスは一緒になったことがない、その程度の関係だった。
この駄菓子屋は、夏になるとかき氷を始める。かき氷を彼女と並んで一食べた記憶だけが鮮明で。
その駄菓子屋も、地震で倒壊したと知ったのは、親しき人の訃報を聞いた後――。
記憶なんて、淡くて脆くて曖昧で。
ようやく街に帰ってきた僕は、目を疑った。かつての跡地には「DAGASI⭐︎」と手作りの旗がたち、かき氷器を回す、彼女がいて。
「やっと帰ってきたのか、都会かぶれ。ちょっと手伝え」
開口一番、口の悪さは健在で。
ずっと探していたなんて、言ってやらない。
今夜21時開催です。第二十九回のお題は「氷」です。氷雨、氷河、氷菓等、様々な「氷」のある光景を作品にして下さい。詳しい概要→ https://t.co/GtCHTLOpLL
— Tw300字ss (@Tw300ss) 2017年2月4日
に沿って21時~24時に #Twitter300字ss のタグをつけて投稿して下さい
と言うことで、Twitter300字SS参加作品でした。