騎士には王が必要で
王子が連れ帰った貧民街の剣客に興味があった。
先王崩御後、宰相が政を動かす。宰相は王子が何をしても興味ないという無礼な素振りで。
仕えるべき王がいない現実が苦い。
鬱憤を晴らしたかったのだ。
手合わせを申し入れ――彼女はあっさりと承諾をする。
近衛騎士と勝負をする気なのかと呆れたが――その数刻後、土を舐めさせられたのは私だった。
「まぁまぁだね」
と彼女は言う。蝶が舞うような所作は見事で。
「あの子の害になるなら切り捨てようと思ったけど、あなたは違うのね」
試されたのは、私と言うことか。
と、それを見ていた王子が手を伸ばす。勿体無いと思いながら、私はその掌に触れた。
仕えるべき王ならここにいる。
今夜開催です。第三十九回のお題は「試す」です。試験、試練、試作品等、「試す」「試される」光景を作品にして下さい。概要→ https://t.co/GtCHTLOpLL に沿って21時~24時に #Twitter300字ss と @Tw300ss をつけ投稿して下さい
— Tw300字ss (@Tw300ss) February 3, 2018
と言うことで、月に1回のお楽しみ。
Twitter300字SS、今回は「試す」でした。
しかし、自分で書いていながら、この子好きだわ。名前決めてないけど(え?
そして「試す」って、かなり難しかったけど、今回も。
以前書いた作品のキャラに最近なっているのは、余裕がないからか。
できれば完全新作で挑みたいところです。