ニンギョウ王子
許嫁たる王子が贈った人形を大切にしていた。
もともと政略結婚以外の何ものでもない。
王は、姫を嫁がせるつもりはなかった。
そしてかの国は、同盟国として派兵を余儀なくされ――壁となって、潰えた。
――この人形があなたを守るだろう、ボクの代わりに。
今なら、子どもの戯言だと分かる。
そして、王は国を栄えさせる道具として、また姫を使うつもりだった。
(大丈夫)
そう呟く。私が次に、あなたの元へ行くから。
殿下の御身を守る為、魔術を使わせてくださいませ。
婆やはそう言った。
あの日から、姫のそばに人形として仕えている。深夜、光が届かない場所でだけ、魔術はほつれて――。
(生きる理由は、もう貴女しかない)
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twitter300字SS参加作品。
今回のテーマは「人形」でした。
タイトルそのまんま。当日にほぼ即興で書いたので、
内容もまた安直だったかも。
でも、また続きを書きたいと思うのでした。個人的に満足。