猫の尻尾亭

尾岡レキが創作の事や読書感想を殴り書きするだけのブログです。アイラブ300字SS!

そんな薬があれば

 シャープペンシルで文字を綴りながら、ひなたはチラッと爽を見やる。
「人見知りをしない薬があればいいのにね」
 そうひなたは言う。一部の人に対して素直になれるのに、それ以外では言葉にならない。その一方で、目の前の爽にならこうも素直になれる。
 と爽が笑っていた。
「え?」
「そんな薬があってもなくてもひなたは、ひなたじゃない?」
「え、でも、それじゃ――」
「それに、そんな薬があったら俺が困る」
「え?」
「周りがほっとかないじゃん。俺はひなたを独占したいのにね」

 


 ――爽、お前はもう少し人見知れ!
 一緒に勉強しながら涼太は聞こえない振りをする。そんな薬があれば、言葉を紡ぐことをきっと迷わないのに――。

 

 

 

 

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