余の顔を見忘れたか?
「余の顔を見忘れたか?」
燐と響く。帝は神にも等しく、その神は自分の写し絵として帝を創った。だが今世ではその伝承すらも忘れられて、忘却の彼方だ。
彼女は目をパチクリさせ、首を横に振る。
「ごめんなさい」
と。まぁ想定内である。神である帝と龍の玉とも言われた貴女に文を交わしたのが前世でのこと。今日のように桃の花が薫っていた。憶えているはずもないか。彼女は龍の記憶もなく。
期待はしていない。貴女を追いかけた代償なら理解している。
「あ、あの?」
「ん?」
「なんだか、懐かしくて。この季節にお会いしたことがありますか?」
甘く薫る花弁が記憶を誘うか――せめて宿主が目覚めるまで、夢を見させてくれないか。
第六十二回のお題は「余り」です。余分、余裕、余暇等、「余」のつく言葉でもOKです。「余り」のある光景を作品にして下さい。概要→ https://t.co/PJh41DIrmY
— Tw300字ss (@Tw300ss) 2020年3月2日
に沿って3/7日21時~24時に #Twitter300字ss と @Tw300ss をつけて投稿して下さい
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第62回Twitter300字SS参加作品
テーマ「余り」でした。
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297字。
今回も楽しく書かせてもらいました、
この作品に関しては最初のセリフを言わせてチャンバラさせるつもりが、
なぜか、こうなった。
まぁチャンバラはあからさまなので、これで落ち着いてよかったか(笑)
余談。
この二人は犬猿の中って設定。
でも前世では、想い人。
思いついたら、またどこかでなぐり書きしたいです。はい。
今回も楽しく参加できました。
感謝なのです。