猫の尻尾亭

尾岡レキが創作の事や読書感想を殴り書きするだけのブログです。アイラブ300字SS!

君に触れたい(限りなく水色に近い緋色)

 

 いつも、リードしてくれるのは彼で。だから、自分は彼に甘えているのが分かる。それではいけないと思いながらも、彼がさりげなく背中を押してくれたり、手を差しのべてくれる。それが嬉しいと思うし、ほんの些細なふれあいが当たり前になっていて、かけがえのない時間になっている。それを自分で実感するのだ。
 今だってそうだ。こうやって私が求める前に、彼はそっと抱きしめてくれる。
「ひなた?」
 嬉しいな、って思う。でもそれで甘えているだけじゃ何も変わらない。
 だから、私だって勇気を出さなくちゃ――そう思う。
 もらってばかりじゃダメだ。受け取ったままで、返さないのはいけない。
(私だって、私の気持ちを、私の思っていることをしたい)
 だから、背伸びをして、ほんの少し高い彼に向かって距離を縮めようとした。
 彼が目をパチクリとさせるのが視界に飛び込んできたけど、あえて目を閉じる。
 爽君の姿は瞼の裏側に、今でもしっかりと映っていて。
 ――躊躇わない。
 その唇で、爽の言葉を奪った。
 
 
 
 
 ――った?
 ひなたは目をパチクリさせる。自分の首にガシッとしがみついているのは、5歳の女の子――みのりで。
 そうだった。
 お泊りにきていたんだった。
(夢?)
 そう思うだけで、頬が熱い。私はなんてことを思って――。
 自惚れている、と思う。
 爽が優しさを、自分に対しての愛情と勘違いしちゃダメだ、と思う。彼は誰にでも優しいのだ。それは均等で平等な優しさで。その優しさに勝手に依存するのは絶対にダメだ。まして夢を見て、自分の勝手な理想を押し付けちゃいけない、と思う。
 思う――思うのだけど――どうしてあんな夢をみてしまったんだろう?
 分からないけど、どうしてか分からないけれど、妙に幸せな気分に包まれて。
 この感情は、いったい何なんだろう?

 

 

 

 

まぁ、そんな理由で書いてみました。

うん、書けてよかった。

でも本編書かなくちゃ^^;