微睡み泳ぐ
遺伝子情報の海を微睡みながら、泳いでいく。目的なく最初は泳ぐだけだった。いつか宿主を引きずり下ろす。それだけを思って。一つの肉体に、二つの人格。主たる遺伝子が二つ。衝突しあうのは当然で。
微睡みながら、泳ぎながら。一人の少年のことを想う。
宿主にとってかけがえのない存在であるように、自分にとっても不可欠な存在だ。彼の存在が自分達を活かす。宿主のように惚れた好いたで踊るつもりは、毛頭ない。
『また会いたいってことだよ』
なにを戯言を、と思いながら。あの言葉、彼の表情が絶え間なく流れるのはどうしてか。
彼を守れない時は宿主を引きずり下ろして、全てを灼き尽くす。
――その時がきたようだ。
第六十七回のお題は「泳ぐ」です。水泳、競泳、泳法等「泳」の入る言葉、比喩的表現でもOKです。「泳ぐ」のある光景を作品にして下さい。概要→ https://t.co/PJh41DIrmY
— Tw300字ss (@Tw300ss) 2020年7月31日
に沿って8/1日21時~23時に #Twitter300字ss と @Tw300ss をつけて投稿して下さい。
300字SS,泳ぐでもう一本参加です。
こちらは拙作「限りなく水色に近い緋色」から【緋色】です。
なかなか出番がないコイツなので、コイツサイドで書いてみたら面白いなって思って書いてみました。
今回も参加できてよかったです。
感謝!