スケッチブック・無自覚・ラブレター
スケッチブックに想いのままにクレパスで彩る。何を描こうなんて、特に考えていない。時には猫だったり、甲冑の騎士だったり、男の子だったりする。いつも、一人でいる時は絵本に想いを馳せていた。
「ふーん」
と覗き込んだトモダチが言う。心の準備なく、自分の絵を見られるのは、何だかくすぐったい。
「ひなたが描く男の子ってさ、水原君にそっくりだよね」
言われて、え? と思う。そう思った瞬間に顔が熱い。慌てて、スケッチブックを閉める。
「ま、た上手くなったらみせる、から、見せるから!」
言葉になっていないが、それどころじゃない。
「いい加減、自覚しなって」
苦笑いされても、その声すら届かない。
twitter300字SS参加作品です。
第二十七回のお題は「絵」です。絵画、イラスト、挿絵、器の絵柄等、絵のつく言葉、絵のある光景を作品にして下さい。詳しい概要→ https://t.co/GtCHTLOpLL に沿って11/5日21時~24時に #Twitter300字ss のタグをつけて投稿して下さい
— Tw300字ss (@Tw300ss) 2016年10月29日