この答え、君には絶対教えてあげない
◆
「宮廷魔術師殿、踏み切ったらしいな」
「ナニソレ」
「勇気をもって告白――だね」
執務中の彼女は、思わずペンを取り落した。
「近衛騎士殿?」
「あ、イヤ。何でもないです」
と宮廷魔術師が勢いよく、執務室に乱入してきた。
「陛下から認可もらいました。手続きを頼みますね。魔術師枠増大で」
近衛騎士の彼女は目をパチクリさせた。
◇
宮廷魔術師は、さも可笑しそうに破顔する。
「私が陛下に告白? ナイナイ」
取り繕った嘘。スラリと言えた。陛下からはとっくに答えをもらっている。
――大切な子がいるから応えられない。
(その答えを知ってなお、諦めていない私も往生際が悪いけどね)
でも親友。君には絶対教えてあげない。
第77回Twitter 300字SS参加作品
テーマ「答える」でした。
イメージ的に、コレしか書けなかった。
いつもの陛下と近衛騎士の彼女のイメージが強くて。
とりあえず参加できた。それで良し、ということで。
今回もありがとうございました!