猫の尻尾亭

尾岡レキが創作の事や読書感想を殴り書きするだけのブログです。アイラブ300字SS!

未来を彩る飾り付けを

 

 腫れ物を触るように扱われていた。傀儡の王子だ、情勢が変われば暗殺される。
 だから――命を晒すことも厭わずに、市井に出た。案の定、賊が金目当てに取り囲む。きっと、パンをあげた子が僕を売ったのだ。


(のぞむところだ)

 と目を閉じると――鋼が衝突する音がして。

(え?)

 目をこする。
「パンの恩義に応えなくちゃね」
 と細身の剣で、全ての剣を受け止めた少女は小さく笑んだ。

 

 

 

「パン一つで遠いところまで来ちゃったかな」
 と彼女は言う。彼女は白金の鎧を、僕は正装で王位継承の儀に挑む。着飾ることは辟易するが、未来を彩る飾り付けは王子にしかできないと君が言った。

 その言葉に生かされた――。


(だから、望むところだ)

 

 

 

 

 

 

と言うことでTwitter300字SS参加作品でした!