猫の尻尾亭

尾岡レキが創作の事や読書感想を殴り書きするだけのブログです。アイラブ300字SS!

#Twitter300字ss 「宴」

 

 淡い光の下で、初めて境界線は崩れ落ちる。月は満たされ、儚い灯りに照らされて、この世界は初めて孤独でないことを知る。
 笛が物悲しく、泣く。その音色に身を任せながら、彼女は盃に手を取り小さく舞うのだ。
「悪くはないな、この国の儀式は」
 彼女は僕の首に唇を寄せる。陶磁器のように白く、冷たい手に添えられながら。
「だが酒より、お前がいい」
 この神社には吸血鬼が祀られている。
「血が目的のくせに」
 会いたかったはずなのについ言ってしまう。
「目的なら、お前だ」
 酔った勢いのくせにと、悪態を返しながら。首に甘く食い込む牙が甘美だ。それ以上に言葉が甘ったるい。
 また人身御供の僕は生かされて――

 

#Twitter300字ss 参加作品。お題は「月」です。遅まきながら遅刻参加! 

 

 

 

3題

ポロリと栞が落ちる。無造作に読み漁っていた本から。

あの子と僕をつなげる本だった――という事をすっかりと忘れていた。

 

いっそ、忘れた方が楽な方がある。

そう言ったのは彼女だった。

 

――正直者が馬鹿を見る。

 

そう言って、時間を進めることを止めたのだ。

 

栞から先は白紙――。

それが代償なのを、本から溢れる記憶の羅列が全てを物語る。

 

この楽園は偽物だ。

ベールを剥げば、

血の色と腐臭が滲む。

 

夢を殺してまでも

大人たちの都合のいい現実の言いなりになる。

 

諦めきれなかった夢が

この本の世界では、

ケダモノに成る。

 

逆を返せば、それだけ僕たちの夢は死んでいく。

 

――我を崇めよ。

 

それは、栞に書かれた無意味な言葉のようであり

再び始めるための魔法の言葉でもあって。

 

我が名において命じる。

月の裏側の君よ。夜の女王よ。忘却の天女よ。

 

白紙のページが光り輝いて。

僕はその光に向けて、指でなぞるように

字を描く。

 

僕が始めた物語を

僕が終わらせるために。

 

 

 

 

 

今、会いに行く。 

 

 

 

 

 

 

 

最近、異世界ガンタジーをよく読むせいです。

もともと異世界ファンタジー大好きですけど。

最後の一言

 

見る者が見れば、妖精が寄り添うように舞ったのが見えただろう。

銀の粉を撒き散らしながら、妖精は哀悼を示す。それだって魔力の無い常人には、風かわそよぐ程度でしかない。

最後の賢者と呼ばれた老人が、この世界に来たのは、350年前。彼は異文化の国から漂流したと言われる。魔力が無い癖に、精霊と交わる事ができ、火種や雷を機械によって起こした。泥水を飲み水に変えたのも、かの老人の功績だった。

その老人が最後に残した言葉は――。

この世界の住民には意味不明で不明瞭な言葉たった。

それもそうかと、最初から付き合いだったカマドの精霊は溜息をつく。

彼の国の言語は、この国では全く解読不能だから当然か。

 

(だけどねぇ……)

 

呆れるしかないというのはこの事か。

彼の言葉は、後進の学者たちの研究意欲を掻き立てる、聖典として扱われるのは難くない。

 

(でもねぇ……)

 

 

――おうどん、食べたい。

 

(あんた、昨日も食ったじゃない)

 

――それから、君が好き。

 

(そっちを先にに言え!)

 

300年は精霊にとっても短くない時だ。

悲しいという感情は精霊には持ち得ない。

 

カマドの精霊にとっては、食わせる食い扶持がいなくなっただけなのに――その火が消える。

 

風がそよぐ。

カマドに火が起こせない。

その意味を賢いこの国の人達はよく理解していた。

 

 

 

 

また、こんなものを書いてしまって……。

どうすんの、俺。

 

 

#小説書く人向けRTされたら晒すパート2

#小説書く人向けRTされたら晒すパート2

 

前回やっていたのに、またやってたのね。

RTくださった皆様、ありがとうございました。

 

 

 

1 物語のテーマ

それぞれあるのですが、共通する事は、

懸命で不器用で、だけどまっすぐな。

と言ったところでしょうか。

青臭いって言われても、なんと言われても。

前を向く。

派手に転んでも、諦めない君が素敵なんだよ、って言いたい。

もっと言うと、特別な能力なんかいらない。

誰かが誰かを好きだと表現する事は、どんな魔法にも勝ると思ったり。

うん、なんて青臭いんだろう。

 

 

2 小説を書き始めた年齢

 

小学校5年製でドイルと出会ってから、小説を書くという事を意識していたんだと思います。

本格的に書き記しようになったのは、21歳になってから。そこからあまり進歩はなし。学習能力なし。まぁ、そこが僕なんだと最近は達観しています。

 

 

 

14RTなので。ここまで。

ありがとうございましたー。

#小説書く人向けRTされたら晒すに答えるの回♪

診断メーカーでの

#小説書く人向けRTされたら晒す

にお答えします。

期待に添えない内容ですいません(笑)

 

 

 

1 ジャンル

恋愛、SF、ファンタジーあたりを好む無節操です。テンプレとか無視、無視。

セオリーある王道にそったオマージュを書くのは好き。

うん、天邪鬼ですね。

 

 

2 好きなシチュエーション

色々ありますが。

勇気を出して、精一杯の背伸びで自分の気持ちを言ったり

手をつなぎたいけど、勇気が持てない時に

「迷子なったら困るからな」

ってぶっきらぼうに、彼氏くんが手をつないでくれたりとか。

絶体絶命のピンチで、ヒロインが主人公の名前を呼んだ瞬間に

「遅くなって悪かったね」

って、敵を一刀両断にたりとか。どうですか?

 

3 文体の特徴

基本3人称ですが、心理描写が中心ですね。どちらかというと、軽い文体ではないと思います。回りくどいと思うし。

あと、これは思春期に読んだミステリ作家さんの影響ですが、

 

――(ダッシュ)

 

の表現が多いと思います。

個人的には映画のシーンの切り替えだったり、カメラアングルの切り替えを意識してますが、まぁ回りくどいよね。

でも、こういうスタイルで落ち着いてるので。おつきあい頂ける奇特な皆様には本当に感謝なのです。

 

 

 

4 参考にしている資料

ネットで検索した後、紙の資料を漁ります。

むしろ、日頃から資料を漁るのが趣味です。

今は使わなくても、いつか使うかもしれないので。

とか言いつつ、活字と戯れていたいだけなんですけどね。

 

 

15RTでしたので、以上で。

RTをくださった皆様、ありがとうございました!

 

 

婚約腕輪

これは契約なのだと言う。本堂の奥、床板が腐っていた場所に、その妖怪は眠っていた。衣一つまとわず――は思春期の男子高校生にはキツイ――まま納められていた彼女は、僕を見て笑った。

 

元服を迎えた武士(モノノフ)が、儂に欲情するか。まぁそれも一興」

 

そう呟いた声が契機だったのか、彼女の吐く吐息が、腕に巻きつく。

 

「な、何、これ?」

「生臭坊主の家系は、教えを一子相伝と聞いたが、ニンゲンの為す伝聞などその程度か」

 

ふむと頷く。い、意味がわからない……。

 

「疫で米も野菜もダメになった時代があってな。貴様の祖先は、儂に泣きついた。もともと、医の心得がある儂には造作無いことだった。その変わりに、供物を要求した」

 

「え? それって、人身御供?」

 

いわゆる生贄ってヤツじゃないかと、と唾を飲み込む。腕に巻きついた煙は腕輪となって、取れない。どう足掻いても、だ。これは観念するしかないのか、とから笑いしか出てこない。

 

「血は争えぬな。別に人間の血肉など、食ってもうまくはない。儂には興味がない事よ」

「え?」

「儂は優秀な子が欲しいだけ。生臭坊主は優秀な血はあったが、女にだらしなくてな。坊主が庄屋と不義密通とは、なんとも嘆かわしい事よ。血は良くとも、親がそれでは子は育たぬ」

 

「は、はぁ」

 

「故に、今日まで待った」

 

「へ?」

 

「坊――名はなんと?」

 

「え? 慶太だけど――」

 

「心音(ココロネ)が美しい。お主のような武士ならば、夫婦(メオト)となる事にも異議はなし。待ち続けた甲斐があったというもの――」

 

え? え? え?

この瞬間も、裸の少女は僕に距離を詰めてくる。

 

「ま、まって、待って! ちょっと話しあおう、色々ちょっと確認したいことが――」

「体で語ることも武士たる、か。一目惚れというものは信じていなかったが、この世に絶対は無い、ということか。天よ、閻魔よ。この出会いに感謝する」

「だから待って、ちょっと、待って、待って――」

 

 

 

 

 

 

この後、音を聞きつけた母が駆けつけて――さらに事態はややこしくなるのだけれど――兎に角、今はもうそれどころじゃなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ、女子高生っていう設定そのもが電波様、コラーって感じですが(笑)

男子が大好きな、幼馴染とか、近所のお姉さんとか、委員長とか巻き込みながらの、伝奇的ハーレムモノも面白そうです(笑)

告白ロールプレイング

 


「あのさ、告白のロールプレイングに付き合ってくれない?」
「は?」

 家飲みをしながら、同僚はそんなことを言ってくる。

「告白って、どう言っていいか正直わからないんだよね」

 こいつは……。入社の時から私が気になっている事を知っていて言ってるのか?

「女子はどんな風に言ってもらったら嬉しい?」
「そんなの人によるに決まってるじゃない」
「じゃあ、槙本は?」
「え……」

 言えるわけがない。何度、目の前の鈍感野郎にその言葉を投げようと思っているんだ?

「好きだよ」

 同僚は耳元で囁く。背中がぞくっとする。言われたかった言葉なのに、と思う。少しおしゃれをしたり、ご飯に誘ったり、休日を一緒に過ごしたり、買い物に出たり。それなのにコイツは少しも気づきもしない。

「付き合ってください」

 同僚は続ける。

「でも、付き合ってくださいって、あんまり好きじゃないんだよなぁ」

 とハイボールに口をつけて。

「槙本ならどう言う?」
「す……す」
「え?」
「ずっと、好きだったんだよ、バカヤロー!」

 煽られ、衝動に任せて言ってしまって――固まる。

 こ、これはロールプレイングだ。何を言ってしまってるの? アルコールの酔いとはまるっきり別の意味の熱さが体中を駆け巡る。

「うん、俺も」

 とニッコリ同僚は笑――う?

「槙本、好きだよ」

 ズルイ笑みを浮かべながら。こいつはいつもそうだ。飄々として。でも仕事で失敗した私に、さり気なく手を差し伸べてくれて。
 ズルイ、と思う。

「女子に誘導尋問で言わせるなんてサイテーだ」
「散々言っても気付かない槙本が悪いんだけど?」
「な、お前、そんな事を一言も――」

 と反論する暇もなく、彼は私を抱きしめる。バカ――と、こんな時でも悪態を吐く私は、本当に素直じゃない。

「槙本のバカは、好きと同義語だよね」
「そんなわけあるか」
「じゃあ、好きって言ってよ」

 私がどれだけ好きなのか、言葉なんかで伝わるか。
 だから私は、今まで伝えたくて伝えたくて仕方がなかった言葉を、唇に全てこめて――。

 

 

ふと、「告白」で書きたくなって、タラリンと書いてみました。