猫の尻尾亭

尾岡レキが創作の事や読書感想を殴り書きするだけのブログです。アイラブ300字SS!

3題

ポロリと栞が落ちる。無造作に読み漁っていた本から。

あの子と僕をつなげる本だった――という事をすっかりと忘れていた。

 

いっそ、忘れた方が楽な方がある。

そう言ったのは彼女だった。

 

――正直者が馬鹿を見る。

 

そう言って、時間を進めることを止めたのだ。

 

栞から先は白紙――。

それが代償なのを、本から溢れる記憶の羅列が全てを物語る。

 

この楽園は偽物だ。

ベールを剥げば、

血の色と腐臭が滲む。

 

夢を殺してまでも

大人たちの都合のいい現実の言いなりになる。

 

諦めきれなかった夢が

この本の世界では、

ケダモノに成る。

 

逆を返せば、それだけ僕たちの夢は死んでいく。

 

――我を崇めよ。

 

それは、栞に書かれた無意味な言葉のようであり

再び始めるための魔法の言葉でもあって。

 

我が名において命じる。

月の裏側の君よ。夜の女王よ。忘却の天女よ。

 

白紙のページが光り輝いて。

僕はその光に向けて、指でなぞるように

字を描く。

 

僕が始めた物語を

僕が終わらせるために。

 

 

 

 

 

今、会いに行く。 

 

 

 

 

 

 

 

最近、異世界ガンタジーをよく読むせいです。

もともと異世界ファンタジー大好きですけど。