ポロリと栞が落ちる。無造作に読み漁っていた本から。 あの子と僕をつなげる本だった――という事をすっかりと忘れていた。 いっそ、忘れた方が楽な方がある。 そう言ったのは彼女だった。 ――正直者が馬鹿を見る。 そう言って、時間を進めることを止めたのだ。…
見る者が見れば、妖精が寄り添うように舞ったのが見えただろう。 銀の粉を撒き散らしながら、妖精は哀悼を示す。それだって魔力の無い常人には、風かわそよぐ程度でしかない。 最後の賢者と呼ばれた老人が、この世界に来たのは、350年前。彼は異文化の国…
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