猫の尻尾亭

尾岡レキが創作の事や読書感想を殴り書きするだけのブログです。アイラブ300字SS!

花の育て方を教えてほしいんです

「殿下の様子がおかしい?」
 近衛騎士の彼女から、相談を受けて騎士団長は面食らった。もともと自由奔放な彼女は、殿下を連れ回し、城下にお忍びへくりだす。
 そんな彼女が悩んでいる。どうも、殿下が彼女に隠し事をしているらしい。殿下らしからぬが――そんな彼女を見ていると、放っておけない。だからと引き受けたのがいけなかった。

 

 


「は?」
「だ、団長! なんども言わせるな! 薔薇を育てているんだ! 彼女に贈りたくて!」
 最後は顔が真っ赤である。殿下は薔薇の育て方を教えろと言う。それも彼女には内緒で、と。
 薔薇ほど育てることが難しい花も無いが――。
 それ以上に、あなた達の花をとっとと咲かせた方が簡単なのに、な。

 

 

 

twitter300字SS参加作品

テーマ「咲く」でした。298文字!

 

 

 

 

ちょっと後書き。

咲くでいろいろイメージしていたのですが、

結局は時間がなくて、この二人がでてきた、という。

 

そして騎士団長は「騎士には王が必要で」ででてきた彼だったりします。

kakuyomu.jp

 

 

二人に振り回される人が増えてきた感じですね。

宮廷魔術師の彼女も含めて、また賑やかなエピソードが書けたらと思いますが。

300字SSで生まれた二人だからこそ、

また機会があれば300字SSで書かせていただけたらと思います。

 

今回も楽しかったー!

乱舞

 モニターから見ていた世界が全てだった。ラボでは全てが管理される。あてがわれた部屋には窓すらなくて。
 繰り返される実験。私の手のひらの上で、煌々と燃える火炎。上手に壊したら、お父さんが喜んでくれた。
 ある日――実験で一緒だった子が、私の手を引いた。その子の手には、液晶タブレット端末が。時々見せてくれた景色に目を奪われて。ココにはない世界が、広がっている気がして――。

 でも私は、そんな世界には行けない。
 そう思っていたんだけどな。
 
 
 
 言葉にならなかった。あの子が私の手を引く。目の前では桃色の花弁が乱舞して。
 でも、それ以上に暖かい手や言葉が、こんなにも溢れる世界があっただなんて。

 

 

 

 

 

 

第52回Twitter300字SS参加作品。

テーマ「咲く」でした。

文字数にして292字。

 

 

ちょっと後書き。

多分、初めてでも読めるように書いたつもりだったのですが、

拙作「限りなく水色に近い緋色」から、宗方ひなたでした。

kakuyomu.jp

 

実験室時代のことをいつか書こうと思いながらいたんですが、

あら、なんか良い風景を書けたきがします。

その反面、やっぱり300字という紫衣源は難しいなぁと思ったり。

それが毎回、楽しくて仕方がないですけどね。

 

今回も参加できてよかったです。あともう1作、参加できたらありがたいなぁ。間に合えば!

 

 

 

 

 

娘さんが小学校を卒業したのだ!

 

 

表題通り。
6年間って長いようで短かったと思うわけで。
この6年間に彼女は確かに成長したなぁと思うけど、
僕は成長できたのかな、と思うんだけれど
まぁ、成長できたんだろう。そう思うことにします。

さすがに6年生にもなると
男親に対しての自立だったりとか、
色々あるんだろうと想像していたのですが、
今のところは、まだそれが無い様子。

彼女は中学校になったら、演劇部に入りたいと仰りますので
(僕が高校時代、演劇部。結婚する前まで、社会人アマ劇団に所属していました)
別に僕の道を追いかけているわけではないでしょうが、
そんなことを、言っています。

僕が6年生卒業時点のことを思うと、
彼女は考え方がオトナだなと思います。

漠然とでも将来のことを考え、
将来の仕事に役立つだろうと、
演劇もしたいという想いをもちながら。

これからも全ての共有はできないだろうけれど、
できるだけ、君がやりたいと思っていることや、
挑戦したいと思うことに協力ができたら、と思うし
君に負けないクリエイターで、モノカキでありたいと僕自身は少し思うわけです。

ただ、イヤなことは後回しにしないほうが良いと思うし、
ストレートに話をすることが全てでは無いと思うのだよ。

 

とりあえずは、卒業おめでとう。
あぁ、ボチボチいこう。
小学校や区の図書館の本、読みたいものは読み尽くしたと豪語する君ですが、
舐めるな。
本との出会いも、それ以外の出会いも
まだまだ始まっていないんだからね。

 

悲しくない/雨フラシ

【悲しくない】

 悲しい言葉なら慣れている。いちいち反応する必要なんかない。ただ、この感情だけ抑えたらいい。昂ぶったら、その瞬間に誰かを傷つける。だから、我慢をしてきたし、人の言葉に無頓着に生きてきた。関わらなければ、最初から摩擦もない。
 ほんの少し感情が揺らいだら――火種が炎になって、溜め込んだ感情が破裂する。感情なんかとっくの昔に枯らしたと思ったのに。
 でも暖かい言葉には慣れていなかった。不覚にも。
 貴方は困った顔をする。私も困っている。でも止まらないのだ。この感情が。
 ――悲しいだけが、涙の意味じゃないからね。
 貴方は、またそんなことを言う。
 感情が止まらない。
 これは全部、貴方のせいなんだから。

 

 

【雨フラシ】

「放っておいて」
 絞り出すような声で、彼女は言う。雨が打ち付ける中、傘もささず立ち尽くす。
 親友と彼女は別れた。そりゃ男と女だ。僕の分からない事も色々あったと思うし、映画のようにハッピーエンドにはならない。それに僕には何もできない。
 せめて傘をさせたらと思うのだが、僕は傘をもつこともかなわない。
 初恋の君よ。僕は先に旅立ったが、未だ君に縛られてこの世から旅立てない。その手に触れて、君を慰められたらいいのに、僕にできることは雨を降らすことぐらいで。
 こんなに近くにいるし、昔から想いも変わらないのに。
 ねぇ君。
 雨で涙をそそぐくらいしかできないけれど――君が幸せになるその日まで、傍にいさせて?

 

 

 

 

 

第51回Twitter300字SS参加作品

テーマ「涙」でした。

 

 

 

 

 

 

 

ちょっと余談。

実は「悲しくない」の方はベースは、拙作「限りなく水色に近い緋色」でした。でも、その作品の背景を匂わせないように、できるだけ書くというのが、殴り描き時のテーマでした(笑)

 

「雨フラシ」は完全オリジナル。涙を隠す雨ってのをテーマに書いて見たいと思ったんだけど、どうかしら? とか思いながら。

 

今回も参加ができました。ありがとうございました。

 

最初は誰もが不安なんだってこと

 

たまにお仕事の話しを。
僕はリアルではケアマネジャーなので、この仕事でしか体験できないこと、学習できないことがあると想い、たまに備忘録で書いてみようかと思うわけです。

 

今回は、新規の利用者さん宅へ訪問をしました。
毎回、なかなかない経験をさせてもらうのですが、今回もショッキングでした。
初回訪問に向けて、電話連絡をさせてもらうのですが、その際の一言。

 

「ケアマネ歴は何年なの?」
今年で4年目になる僕です。


「浅いわね。もっとベテランはいないの?」
お、おおぉ?
ちょっと目が点になったけど、冷静にお話を聞いていく。

 

「ケアマネになる前にもっていた資格は?」
僕は基礎職が介護福祉士ですので、そのように答える。
社会福祉士じゃないのね。やっぱり専門的な人と言えば、社会福祉士さんじゃない?」


ちょっと、ここで沸騰しそうになる。
僕もケアマネ5年目には、社会福祉士取得に向けて動き出そうとは思っていました。
しかし、あまりに介護福祉士を下に見る発言。どちらも、国家資格だっつーの、とは思うが、そのまま傾聴していく。

 

本人の状態、家族が大変に思っていること、介護保険制度でできること、できないこと。そのことについて、訪問させて説明させて頂きたいことを伝える。

 

「いいわ。あなたが、適任か面接をしましょう」
心の中で、僕が沸騰である。
ちょっと、その言い方はないと思う。

 

「医者を選ぶことで人生が変わるでしょ。ケアマネ選びも重要だと思うの」
ここで、僕はふと深呼吸をする。この物言い。もしかしたら、この人はこの業界――もしかしたら看護師経験があるのかもしれない。
事前情報に、利用者本人を呼ぼうの為、外出に連れ出すも限界を感じているとあった。
この方は、献身的に介護をしているのかもしれない。

僕のスイッチは、この段階で完全に切り替わった。

 

「ひどいことばかりズケズケ言ってごめんさいね」
僕はストレートに言ってもらえる方がむしろ助かる、と伝えた。
助かる、なんてあるものか。ケアマネだって人間なのだ。
でも、この時は「助かる」と言わないといけない。
この人が望んでいるのは、社交辞令なんかじゃない、介護の現場こその本音と――真摯なさポートなんだと思う。

 

「私、リハビリが必要だと思っているの。でもどう利用していいか分からなくて」
「怖いおばさんだけど、勇気を出して来てね」

 

大丈夫。真剣勝負を始めよう。
あなたが、介護に対してまっすぐに取り組んでいることがわかったし、誰よりもご主人を大切に思っているのも分かった。
オッケー。
僕は繰り返し、自分の中で言う。

 

ストレートに言ってもらった方が、僕は助かるので。この仕事をしていると、きれい事では済まされない現実があって。ケアマネはそのことを伝えないと行けない時がある。
だから、そのことを僕はストレートに、柔和に返す。

 

「いいわ、面接をしましょう」
面接ですか……?
戸惑いは、言葉に出さないように飲み込む。笑顔で、よろしくおねがいします、と言って。

 

 

 

 

 

 

と、かなり電話での洗礼を受けたのでしたが、
結果、初回訪問では受け入れてもらったようでした。

 

介護保険の説明、できること・できないこと、
なにより介護保険のサービスでは全てを支えるkとができないので
本人さんの今できること、できいていること
家族さんのサポートが何より重要であることを伝え、
今、家族さんが外出や旅行に連れていってあげたりと、とても良いことをしているとお伝えしたのでした。

 

ケアマネジャーとの契約をしてもらい、地域のサービスや、現在の本人さんの状態についても確認をさせてもらい、サービス事業所の見学もしてみると、奥さん、非常にアグレッシブで電話とは打って変わって、今のところは受け入れてもらった印象があります。

 


思うのは、ご利用者、本人さんもそうですが
家族も、介護への不安が強いということ。
元気な時に本人を知っているからこそ、それはなおさらのことだと思います。

 

ケアマネジャーをはじめ、医療者・介護専門職の関わりで、その方の人生は一変してしまう。病気、もしかしたら認知症を抱えながら、その方が望む生活に近づけることおができるか。願わくば、現在の介護度から少しでも改善し、介護保険から卒業ができたら、と思います。

 

いつも、初回訪問、初回アセスメントはパワーがいる。
今回も、本当にステキな経験をさせてもらったと思います。
支援は、関わりはこれからなので、
その時でできる僕の精一杯で支援ができたらと。

 

これから結成するケアチームと(関わるサービス事業所も、家族も主治医も)
膝をつき合わせて、関わっていく日々がまた始まるのです。

 

やろうぜ!

 

 

慟哭

 あの人はきっと私が死んでも涙を流さない。
 感情を流すには、私たちは長く生きすぎた。エルフと龍人、ともに長命の種だ。エルフは自然と共にあり、龍人は本能のままに血を求める。
 惹かれたのは――きっとお互いの同情から。
 彼は失ってばかりで。そして私は奪われて。
 種が違うんだから、愛情なんかあるはずもなく。
 エルフが命を絶つには、汚れた血で煎じれば良い。どんな薬を調合するよりも、安易で。私は一想いに呷った。
 でも、君に会えてよかったと思っているんだよ?

 

 

 慟哭という言葉があるのなら、今がまさにそれで。
 龍人は枯れかけたエルフの躰を抱きしめるが――血で汚れたエルフは、土にも還らず気化して、消え去った。

 

 

 

 

 

twitter300字SS参加作品。

298文字でした。

そんな薬があれば

 シャープペンシルで文字を綴りながら、ひなたはチラッと爽を見やる。
「人見知りをしない薬があればいいのにね」
 そうひなたは言う。一部の人に対して素直になれるのに、それ以外では言葉にならない。その一方で、目の前の爽にならこうも素直になれる。
 と爽が笑っていた。
「え?」
「そんな薬があってもなくてもひなたは、ひなたじゃない?」
「え、でも、それじゃ――」
「それに、そんな薬があったら俺が困る」
「え?」
「周りがほっとかないじゃん。俺はひなたを独占したいのにね」

 


 ――爽、お前はもう少し人見知れ!
 一緒に勉強しながら涼太は聞こえない振りをする。そんな薬があれば、言葉を紡ぐことをきっと迷わないのに――。

 

 

 

 

Twitter300字SS参加作品。

296文字でした。