猫の尻尾亭

尾岡レキが創作の事や読書感想を殴り書きするだけのブログです。アイラブ300字SS!

むこうがわ

 

 天井に小さな窓が一つ。何年、ここに閉じ込められているのかも忘れてしまった。人間につかまったのが運の尽きだったと思う。寿命が長い翼人族にとっては、苦痛でしかない。
 羽根を広げることにも苦労する狭さで。なびかない少女にしびれをきらした貴族は、その顔に硫酸をぶちまけバケモノと罵る。それでお終い。他者との接点は、小間使いの少年のみで。彼が食糧を運んでくれるが、まるで食欲がわかず。また空を飛べたら――そんなことばかり思う。
「姉ちゃん」
 窓を乱暴に金槌で叩き割って、声をかけたのはあの少年だった。
「え?」
「姉ちゃんなら、逃げられるだろ?」
 少年の言葉に答えるより早く、羽根が動いた。
 彼の手をつかんで。

 

 

 

 

twitter300字SS 第59回参加作品。

テーマ「窓」でした。

囚われの少女をイメージしたら、こんな感じになりました。

ボーイミーツガール的なのも大好きです。

まぁ、展開的には……。

不完全燃焼なので、またがんばります(笑)

 

今回も参加できてよかったです。
ありがとうございました。