猫の尻尾亭

尾岡レキが創作の事や読書感想を殴り書きするだけのブログです。アイラブ300字SS!

最初は誰もが不安なんだってこと

 

たまにお仕事の話しを。
僕はリアルではケアマネジャーなので、この仕事でしか体験できないこと、学習できないことがあると想い、たまに備忘録で書いてみようかと思うわけです。

 

今回は、新規の利用者さん宅へ訪問をしました。
毎回、なかなかない経験をさせてもらうのですが、今回もショッキングでした。
初回訪問に向けて、電話連絡をさせてもらうのですが、その際の一言。

 

「ケアマネ歴は何年なの?」
今年で4年目になる僕です。


「浅いわね。もっとベテランはいないの?」
お、おおぉ?
ちょっと目が点になったけど、冷静にお話を聞いていく。

 

「ケアマネになる前にもっていた資格は?」
僕は基礎職が介護福祉士ですので、そのように答える。
社会福祉士じゃないのね。やっぱり専門的な人と言えば、社会福祉士さんじゃない?」


ちょっと、ここで沸騰しそうになる。
僕もケアマネ5年目には、社会福祉士取得に向けて動き出そうとは思っていました。
しかし、あまりに介護福祉士を下に見る発言。どちらも、国家資格だっつーの、とは思うが、そのまま傾聴していく。

 

本人の状態、家族が大変に思っていること、介護保険制度でできること、できないこと。そのことについて、訪問させて説明させて頂きたいことを伝える。

 

「いいわ。あなたが、適任か面接をしましょう」
心の中で、僕が沸騰である。
ちょっと、その言い方はないと思う。

 

「医者を選ぶことで人生が変わるでしょ。ケアマネ選びも重要だと思うの」
ここで、僕はふと深呼吸をする。この物言い。もしかしたら、この人はこの業界――もしかしたら看護師経験があるのかもしれない。
事前情報に、利用者本人を呼ぼうの為、外出に連れ出すも限界を感じているとあった。
この方は、献身的に介護をしているのかもしれない。

僕のスイッチは、この段階で完全に切り替わった。

 

「ひどいことばかりズケズケ言ってごめんさいね」
僕はストレートに言ってもらえる方がむしろ助かる、と伝えた。
助かる、なんてあるものか。ケアマネだって人間なのだ。
でも、この時は「助かる」と言わないといけない。
この人が望んでいるのは、社交辞令なんかじゃない、介護の現場こその本音と――真摯なさポートなんだと思う。

 

「私、リハビリが必要だと思っているの。でもどう利用していいか分からなくて」
「怖いおばさんだけど、勇気を出して来てね」

 

大丈夫。真剣勝負を始めよう。
あなたが、介護に対してまっすぐに取り組んでいることがわかったし、誰よりもご主人を大切に思っているのも分かった。
オッケー。
僕は繰り返し、自分の中で言う。

 

ストレートに言ってもらった方が、僕は助かるので。この仕事をしていると、きれい事では済まされない現実があって。ケアマネはそのことを伝えないと行けない時がある。
だから、そのことを僕はストレートに、柔和に返す。

 

「いいわ、面接をしましょう」
面接ですか……?
戸惑いは、言葉に出さないように飲み込む。笑顔で、よろしくおねがいします、と言って。

 

 

 

 

 

 

と、かなり電話での洗礼を受けたのでしたが、
結果、初回訪問では受け入れてもらったようでした。

 

介護保険の説明、できること・できないこと、
なにより介護保険のサービスでは全てを支えるkとができないので
本人さんの今できること、できいていること
家族さんのサポートが何より重要であることを伝え、
今、家族さんが外出や旅行に連れていってあげたりと、とても良いことをしているとお伝えしたのでした。

 

ケアマネジャーとの契約をしてもらい、地域のサービスや、現在の本人さんの状態についても確認をさせてもらい、サービス事業所の見学もしてみると、奥さん、非常にアグレッシブで電話とは打って変わって、今のところは受け入れてもらった印象があります。

 


思うのは、ご利用者、本人さんもそうですが
家族も、介護への不安が強いということ。
元気な時に本人を知っているからこそ、それはなおさらのことだと思います。

 

ケアマネジャーをはじめ、医療者・介護専門職の関わりで、その方の人生は一変してしまう。病気、もしかしたら認知症を抱えながら、その方が望む生活に近づけることおができるか。願わくば、現在の介護度から少しでも改善し、介護保険から卒業ができたら、と思います。

 

いつも、初回訪問、初回アセスメントはパワーがいる。
今回も、本当にステキな経験をさせてもらったと思います。
支援は、関わりはこれからなので、
その時でできる僕の精一杯で支援ができたらと。

 

これから結成するケアチームと(関わるサービス事業所も、家族も主治医も)
膝をつき合わせて、関わっていく日々がまた始まるのです。

 

やろうぜ!