碧月の再会
四年に1回、ようやくなのだ。青い月と赤い月が交わって、碧の月になる。この日だけ、妖精と交信ができる。
昔は見えないもの――って大人たちが、言うモノが見えたのに。今はすっかり見えなくなって。でもあの時交わした言葉も、握ったぬくもりや感覚なら、しっかりと憶えていて。
淡く、月が照らす。
境界線を、消していきながら。
あの子は、少し離れて、笑顔を零す。
言葉にならない、この瞬間は。
ヒトと精は交わらない。何度も言われた言葉だ。ヒトとヒトで想いを交わせば、これほど楽なことはないと思うのに。どうしても、君のことが忘れられない。
碧の月が、消えるまで5時間。
睡魔に負けないように――そう思いながら、4年ぶりの君を僕は抱きしめた。
今年こそ、言わなくちゃって思ったのに。
彼に抱きしめられながら、思った。
ごめん。
妖精は、実はもうすでにニンゲンの社会に交じりあっていて。
ヒト社会と同化する法術の開発も盛んで。
何度も、何度も君の前で、告白をしている女の子がいるのに――それは私なのに――君は気付かないままでいる。
(今はまだ)
秘密は秘密のままが良い。
君のことを、いつも少し離れて歩いて、ついて回って。私のことを気付かない君がもどかしくて。でもこうやって、ずっと私を探してくれた君が愛しくて。
あと、もう少ししたら言おう。
本当のことを。
君の近くに、いるんだってことを。
あと少しだけ、後もう少しだけ。
【第102回 二代目フリーワンライ企画】本日のお題
— 2代目フリーワンライ企画(自称)@次回2/29 (@free1write2) 2020年2月29日
四年に一度
少し離れて歩く
枕が変わると眠れない
秘密は秘密のままがいい
イントロ
この中から一つ以上選んで執筆してください!22:30より開始です!#深夜の真剣文字書き60分一本勝負
二代目フリーワンライ企画様に初参加!
使用お題
【四年に一度】
【少し離れて歩く】
【秘密は秘密のままがいい】