夕焼けの魔法
勇気を出した。その結果――今日があるんだけれど。ため息が自然と漏れたことに気付いて、唇を噛みしめた。今日はもう終わる。デートはこれでお終い。
後輩の彼は、人気があって。先輩の私は地味で。正直、どうして私を選んでくれたのか、よく分からない。彼がどう思っているのかもよく分からない。この手をのばして、彼の手を握りたいって、何度も思ったけれど――。
「え?」
私の手を彼が優しく握ってくれた。
「ごめん、先輩。遅くて」
「え?」
「もっと早くこうしたかったんだけど」
陽が落ちかけて、彼の顔がよく見えない。夕焼けの魔法に私はかけらたんだ。きっと。
魔法をかけられるがままに――私は迷わず、彼へ背伸びした。
第六十八回のお題は「夕」です。夕暮れ、夕日、夕食等「夕」の入る言葉、比喩的表現でもOKです。「夕」のある光景を作品にして下さい。概要→ https://t.co/PJh41DIrmY
— Tw300字ss (@Tw300ss) 2020年9月2日
に沿って9/5日21時~23時に #Twitter300字ss と @Tw300ss をつけて投稿して下さい。
今回もTwitter300字SS参加できてよかったです。
たまにこんなキュンキュンするようなのを書きたくなるんですよね。えへへ。
今回も読書として、300字SSを楽しむのです
(最近、時間的余裕がなくて消化不良なんですけどね、今回こそ楽しむの!