これは余っただけなんだ、本当なんだ
これはたくさん作りすぎただけなんだ。何度目かの言葉を口にして。まるで自分に言い訳しているみたいで。彼と一緒にお昼ご飯を食べたい。それだけのことなのに、大人げなくはしゃいで――今になって、冷静になった。
手作り弁当なんて、重たすぎるじゃないか。
「先輩?」
「あ、わ、わ」
どうして、こういう時に限って、君は早く気付く!
「お弁当、あ、俺の分作ってくれたんですか!」
大きな声を出すな、はずかしい。
「あ、作りすぎたから。余っただけ、それだけだ」
周囲、微笑ましそうに笑うな。
「先輩の手作り、すげぇ嬉しい。一緒に食べましょう。ね?」
君はそうやって、私が越えられない一線を飛び越えてくるから――キライなんだ。
第六十二回のお題は「余り」です。余分、余裕、余暇等、「余」のつく言葉でもOKです。「余り」のある光景を作品にして下さい。概要→ https://t.co/PJh41DIrmY
— Tw300字ss (@Tw300ss) 2020年3月2日
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第62回Twitter300字SS参加作品
テーマ「余り」でした。
300字。
なんか、言い訳しながら、素直になれない子を書いてしまいましたが。
個人的にこういう子、好きです(笑)
見ている分には(笑)